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真の食通は贅沢に非ず

どこもかしこもバラエティ番組で美味しいものを食べる番組が増えた昨今テレビを見るのは食傷気味だ。
最早テレビは視聴者の娯楽ではない。
芸人が騒いで贅沢なものを食べているだけである。

真の食通とは、贅沢なものを食べるに非ず市井で食べられるごく当たり前の料理が美味いと言えるのが本物である。
池波正太郎氏(1923-1990)はその本質を知っていて作品に食事の場面を出して真の食通とは贅沢に非ずとさらりと書いていた。

秋山小兵衛はそんなに贅沢品は好まずに市井のごく当たり前な料理を好んでたべた。だから氏の遺作になった『剣客商売包丁ごよみ』では、ごく市井で食べられる惣菜や菓子などを詳しく描いている。

作中の描写と絡めて数々の献立が描かれている。
その中には昨今テレビで取り上げられる贅沢メニューは皆無である。
蛤の様に海上汚染のために姿を消し高価になったものもあるにはあるが、氏の子供時代や若き頃は庶民の食べ物であった事を描いている。

さらりと作中からそのメニューを抜擢し、お気に入りの天ぷら屋の近藤文夫氏に再現させたが近藤氏は『池波先生のこと細やかな描写を料理化するのはかなり苦労した。』と書いているがかっては普通に食べられていた市井の味が今や貴重であり疎遠になったのは現代人の怠慢である。

それだけ日本人が堕落した訳であるが、
嘆かわしい話である。
ダメなマスコミやくだらない芸能人のせいで当たり前な料理があまり目立たなくなっているのは情けなさを通り越して『ありゃ酷いものさ』(秋山小兵衛)である。