好評のうちにアニメ『ばくおん‼︎』は最終回を先週迎えた。
バイクに何の興味もなかった佐倉羽音(cv上田麗奈)が、来夢先輩や天野恩紗(cv内山夕実)との出会いで最初は「全然興味ありません‼︎」と言っていたものの、来夢先輩のカワサキニンジャに乗った後に概念が変わり、二輪免許を取りに行き、やがては自分のバイクを持ち、羽音なりに楽しむ様が面白かった。
12話に纏めたために原作にあったエピソードが一部端折られたことはあったが、まあ、上手く纏めた方ではないか⁉︎
書店でも凛はレーシングスーツ着たままである。
良いのかこれで⁉︎雑誌を見ていて「スズキのカタナの特集がない!」とか、「数行で終わってる‼︎」
とか、かなり凛が文句を言っていた。
最後までスズキをdisるブレのなさは良いが、スズキのファンにはフラストレーションが溜まるものではなかったか⁉︎
恩紗が鈴菌に冒されスズキのバイクを舐め回すとか、とんでもない回があったり、その中で恩紗が「スズキのハヤブサのライトは男のピーみたいだ」とか放送禁止用語発言があったりとか
面白かったが。
しかし極め付けは最終回にバイクを転かした羽音が傷ついたタンクをどうにかしようと思い、ニコイチモータースに持ち込むがタンクをボコボコにしてしまい、替えることになったときに教習所で世話になったバイ太(cv井上喜久子)との再会を果たす。
バイ太はあの後バラされタンクだけになり、他のバイクの部品になっていたがそのバイクが事故って廃車になり、タンクだけになってニコイチに来たことや、バイクは走りたいんじゃなくて「ゴロンと横になりたいだけなのよ。人間が走れ走れって言うから走ってるだけで。」と、ぼやいたりする。
しかしバイ太のことを知っている羽音は「知ってるよバイ太、バイ太はもっと走りたいんだよね。」とバイ太に話しかける。
その模様を恩紗に見られてはしまうが。
色を青から羽音のバイクの色のパールピンクに塗り替えられた新しいタンク(バイ太)になったスーフォアは再び羽音が乗ることになる。
書店エピソードでは、羽音が神様(cv小山力也)に女性のヌードグラビア付きのバイク雑誌を手に取る神様の本を見て、「この雑誌、裸の女の人がオートバイに乗ってたり、それにここなんかおけけが!おけけが‼︎」と言ってしまい神様に往復ビンタ喰らいフラフラにされる。
何故かその本をデビットカード(クレカ)で払う神様、神様がデビットカード持ってるのか〜い‼︎
その後雑誌を買い、バイクに乗ってあちこちに配達用バイクを見た羽音が「みんなスーパーカブだ!」と言った羽音に恩紗は「違うよ、前にある二台はヤマハメイト」更に凛が「更に後ろ二台はスズキのフォーストで、更に後ろは今はなきツーストでその後ろのもスズキね」と詳しく説明する。
更にスーパーカブ誕生秘話の話の真似を恩紗と凛と聖がやりだす。
聖の執事早川は、「まさか女子高生がホンダスーパーカブ誕生秘話の真似をする時代になるとは長生きはするものですな。」としみじみ話す。
そして聖が「バイクもやがてはポケベルみたいになくなるのでしょうか⁉︎」と言うと恩紗は、「大丈夫、人間はそこまでに賢くはならないさ」と言う。
確かにバイクは今の時代にもある。幾ら車が新車を出そうと、存在する。ものは載せられない、人を乗せたら楽しみはなくなる、ガソリン使うのでエコでもないしロードバイク(自転車)のように体に良いとかの大義名分もない。
そして羽音がいつしか帰り寝てしまい、起きたら何とそこは、バイクという概念が存在しない世界だった。
みんながみんなロードバイク(自転車)に乗る世界になり、恩紗も凛もそれぞれ自転車通学している世界になっている。
中野千雨(cv木戸衣吹)は競輪の中野の娘ということになり、バリバリのロードバイクでツーリングに参加する選手ということになっている。
何か松本規之の『南鎌倉高校女子自転車部』みたいな世界になっている。
バイクとはこの世界では自転車のことを指し、自転車専用道路が整理され、車も安全性能が図られて交通事故が格段に減った時代ということになっている。
しかし羽音は「違うよ!みんなオートバイに乗ってたんだよ!こうやって自動で走るのに」
と言うと凛は「自動で走りたいなら自動車があるじゃない、スズキの軽とか。」
と、理にかなったことを言う。エンジンの話をしたら恩紗は「エンジンってのは凄く重いんだぞ⁉︎その羽音のいうオートバイってやつはシートベルトもないんだろ⁉︎安全性という面でも危ないよな。合理性もないし」
「そもそも最後のクもないとか言うのは何なんだ⁉︎」とまで言われる。
この世界の聖は自動車に乗らずヘリ通学している。
組むのと磨いているだけで乗らない(乗れないので)そうなる。
千雨は、「もし、本田宗一郎が大八車ではなく自転車にエンジンを積んでいたなら羽音先輩がいうそのオートバイというのはあったのかも知れませんね。」とまで言う。
恩紗「なあ、羽音、賢くなれ。」とバイクがない世界にバイクを叫ぶ羽音を諭す。
そして、百万のロードバイクを見つけた凛、恩紗、千雨は追いかけて走り去る。
自らの考えを全て否定され、バイクなんてなかった世界に取り残された羽音は「そうかあ、みんな賢くなったんだ。でも、オートバイのない世界は悲しい、悲しいよ…。」と何と口バイクをやり始める。
バイクのない世界で口バイクをやる羽音、学校に着くが、悲しい。
そこで佇んでいたのは来夢先輩だった。
この世界ではみんな知らないと存在まで否定されている来夢先輩がいた。
再び目覚めた羽音。
するとそこにはバイク(聖と千雨はスクーターだが)に乗ったみんなが。
恩紗「羽音、遅いぞ!今日はツーリングの日なのを忘れたのか⁉︎」
凛「羽音まだ寝てんの⁉︎」
聖「まあ⁉︎まだパジャマですの⁉︎」
千雨「さぞかしいい夢でも見ていたんでしょうね。」
そう、羽音の見たもしもバイクがない世界は、パラレルワールドの一つだったのだ。
羽音の愛車スーフォアもあった。バイ太が「おはよう、羽音ちゃん。」と語りかける。
羽音「バイ太、わたし変な夢を見ていたんだよね。」と改めて現実に戻ったことを実感する羽音、妹の由女が「はい、お姉ちゃん、ヘルメット」と手渡した。
そしてバイク部のみんながバイクに乗り、EDの『ぶぉん!ぶぉん!らいど・おん』が流れてスタッフスクロールする場面で本編は終わる。
バイクのないもしもの世界は神様が見せたパラレルワールドなのだ。
神様「バイクが出来て百年、もう少しまだ付き合うか」と例のグラビア付きバイク雑誌を読み耽りながら終わる。
最終回としては破綻なく終われた。鬱最終回ではなかった。
『侵略!イカ娘』の最終回のように日常で終わった。
(元がコメディ漫画原作なだけに)
イカ娘のアニメと同じく音楽にランティスが関わっていたのも偶然か⁉︎
久々にカタルシスを感じた。もしものパラレルワールドも面白かった。
あり得た世界だったからである。
広井王子の『サクラ大戦シリーズ』は戦車の概念がなく、人型蒸気(霊子甲冑というが人が操るからロボット)大戦は第一次大戦(劇中では欧州大戦)、太正万年で昭和は来ない、だから第二次世界大戦もない、動力は蒸気が基本。という、あり得ない世界が理想郷みたいに描かれていたのでイマイチリアリティに欠けていた。
作品としても残された謎だらけで未完でもある
(欧州星組の隊員五人の内一人が不明なまま)
まあ、セガがああなってしまいレッドエンターテイメントもああだから続編は望むべきもないが。
『ばくおん‼︎』の二期はあるかどうか分からないが、単行本分の主なエピソードはやっただけに新しく二期作ると殆どオリジナルシナリオになるが、まあ良い。
見ていて飽きないコメディバイクアニメだった。ブルーレイもDVD化もされているので、テレビの放送を見ていなかった人や本編にはない特典などが欲しい人は是非見てもらいたい。
これまで『ばくおん‼︎』の記事で佐倉羽音のことを佐倉羽根と表記して来たが、検索すると間違いだったのでここで訂正とお詫びをしておく。
アニメ見るまでは詳しくなかったので。