何にしろ聞く耳を持たないと意味をなさない。何を遠回しに言うのかと言えば聞く耳を持つと向上につながりやがて身につく、しかし持論を曲げず聞く耳を持たないと何の意味をもなさない。
野球で言うなら一年目の活躍の後暫くムラなどがあり伸び悩み昨年きっかけを掴み今年は見事に阪神投手陣の柱として、ランディ・メッセンジャーと共に先発投手陣の軸となっている秋山拓巳である。
一年目は4勝3敗と活躍するもそれ以降は二軍では良くても一軍では打ち込まれるパターンで行ったり来たりを繰り返していた。
元からコントロール勝負の投手だったのに無理にスピードを求めたがためにしなやかな投球が崩れた。
あまりにもコーチなどの言うことを聞きすぎていたのもあるし、本人イップスになったことすらあり、苦労していた。
「なぜ上手くいかないんだ?」と言う思いを五年経過してわからなかった。
高校時代は『伊予のゴジラ』と呼ばれた打撃もあったために打者転向の声も上がったこともある。
しかし秋山は投手で勝負したかった、忸怩たる思いで昨シーズンを迎え、シュートを会得したのもあるが、藤川球児のアドバイスの「強い球を投げろ」と言うアドバイスが秋山の支えになった。
久方ぶりの勝利を挙げ背番号も27から46に変わり今年を迎えキャンプ、オープン戦とアピールし、公式戦を迎えた。
開幕はメッセンジャー、藤浪、岩貞、能見、青柳の一番最後に来てくれたら扱いだったが、蓋をあけるとメッセンジャーに次ぐ好成績を挙げている。
確かに痛い一発を食らう場面もあるが、四死球が少ないと言うコントロールの良さが蘇り、更に球の力も増したために変化球も生きている。
だから今年は現段階8勝だが、二桁勝利も届く位置にある。
元からやれる力があったのだ、スピードを求めて崩れてから遠回りはしたが漸く自分の投球を取り戻した。
打撃はおまけだが相変わらず良い、ヒットならば簡単に打てる。
如何に球に力があってもコントロールがなければ投球にならない、それを秋山を見ていて感じる。
それに対してエースとしての期待を込められていた藤浪晋太郎はコントロールに悩み、春先は好投もあったが京セラドームでもヤクルト戦で畠山和洋に当てて以来内角を突けなくなり、挙句にコントロールを乱しての自滅が多く、五回六回待たずに100球はザラという無駄球が多い投球を繰り返し、二軍に降格した。
メッセンジャーは藤浪に対して「コーチの言うことを聞くこと」と言ったが藤浪は一向にコーチの言うことに耳を貸さず自らの持論に凝り固まっている。
ダルビッシュに私淑しトレーニングも共にしてダルビッシュが愛飲するサプリメントを球団に要請するなどダルビッシュリスペクトが強く、誰のいうことも聞きゃしない。
二軍でも好不調を繰り返し、中日戦で相手打者の頭に当てて以来登板から遠ざかっている。
今や二軍でも孤立化、完全に手に負えないのだが、やはり痩せても枯れても大阪桐蔭高校の春夏連覇投手と言う過去のプライドなどもあるのだろう。
一年目から三年目まではすいすいと勝てたが、昨年からコントロールの乱れが目立ち昨年はまさかの8勝止まり、今年もまだ3勝止まりである原因はあまりのコントロールの悪さと球数の多さ故にリズム感が生まれず勝てないと言う悪循環に陥っている。
確かに持論を持つのは悪いことではないが、それに過信しすぎ他人や先輩の助言すら聞かないとは相当の頑固者である。
結果が出ていないのに助言無視は向上を妨げることであり、それは野球だけでなく一般世間にもそういう人間はいる。
悪循環に陥り持論にこだわるが故に柔軟さに欠けるなんてかなりいる。
やはり聞く耳を持つことは大切なんだな。如何に過去に栄光があるとは言え、過去は過去、今は今、どうにもならなくなった時は耳を傾けることが大切だ。
それはエンターテイメントにも言える。過去売れたからと言って今ウケるとは限らない、周りの助言を入れて新しいものを取り入れないと、時代遅れの人になる。
それが出来たのが秋本治で、それが出来なかったのが梶原一騎だと思うのだが皆さんはどうか?
あの手塚治虫も初期と比べたら作風を時代により変えている、石ノ森章太郎も初期と比べたら作風を変えている、ウケることは難しいのだ。
下手に過去の栄光に囚われていたら新しい発想が出来ないのは歴史が証明している。
このままだと藤浪晋太郎はやがては手に負えないと言う理由でトレードに出されるかも知れない。
本人が聞く耳を持たないまま年月が経過すると使えない奴は要らない、トレードと言うことになる。
トレード先で化けるか下手なプライドが邪魔をしてさっぱりに終わるかのどっちちかである。
やはり苦労は大切なんだなぁと思った。